政府の政策を魅力ある具体性のある計画と空間設計につなげる、クリエイティブな興奮

梁晶(主任コンサルタント)

「中国には、まだまだ未開発の地域がたくさんあります。」梁が中国に活躍の場を求めた理由だ。これまで沿岸地域に集中していた中国の都市開発は、近年は内陸部にも広がっており、中国の都市化スピードは持続的上昇をしている。開発事業が成熟し、小規模な再開発を手掛けることが多かった日本とは対照的だ。梁はNRI上海に2008年4月入社、以来半年間で企画提案と受注面で多数の実績を上げ、プロジェクトリーダーとして充実した毎日を送っている。

所属する公共戦略グループは、地域開発や都市発展戦略のほか、産業園区(工業団地)などを含む開発戦略、政策づくりサポートなど、政府関連の事業が多い。政府から示される政策や計画を戦略的な視点から分析し、具体性のあるプロジェクトにつなげるのが梁の仕事だ。

日本の九州芸術工科大学芸術工学科でパブリックデザインを研究し、修士号を取得。その後日本で4年間、都市設計関係のコンサルタント会社で土地開発関連のコンサルティング業務を担当し、日本の土地開発コンサルタント業務の優れた面を吸収した。当時の経験は今、公共戦略や政策へ具体的な提言をする際に役立っている。

都市の発展を追求する政府側と、収益追求型の企業側の両方の意見を調整し、最適なプロジェクトの方向を探る。これまで獲得してきた知識を駆使しつつ、顧客を説得するのが一番の苦労、と梁は語る。日本での勤務時、すでに中国関連の仕事手がけていたことから、中国の設計事務所や政府、民間デベロッパーに人脈があることは強みだ。

現在の仕事に専門性は必要か、と問うと「専門知識は唯一の評価基準ではなく、それよりも勉強意欲ですね」と語る。NRIで要求される情報収集とスキルアップを満たすには、これまでの経験に加え、新たな知識を吸収する能力が必要となる。「政府が示したイメージ通りに開発を進めれば、外観は整っていても人や投資が来ない、無機質な街ばかりを作ってしまうことになりかねません。」建築関連のほか、環境や産業、交通、経済・金融など、必要な知識は山積みだが、この努力の積み重ねが、社会と都市のあり方に変化をもたらすと梁は信じている。

さらに、公共戦略を担当するグループは10人前後のメンバーによって進められることから、コミュニケーション能力も欠かせない。メンバーはそれぞれ自分の専門に自身を持ち、役割分担をして仕事を進めていく。仲間の意見と顧客の意見が対立すれば、内側と外側の折衝にも気を遣う。

梁の夢は公共チームの人数を増やし、地方都市の発展に関する分析と研究を進め、事業を拡大することだ。NRIの技術とノウハウを評価する顧客は多く、「野村は我々が抱えている問題をはっきりと分析してくれた」と評価されることはよくある。社会への貢献を実感できることが、梁の仕事の原動力だ。大学で建築学や都市計画を専門に学んだ人材は、設計事務所に進んだり、または起業することが多いが、NRIはその専門をさらに広げる格好の場ともいえる。「クリエーティブな仕事がもたらす達成感を、さらに多くの仲間と共有していきたい」と梁は考えている。

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