日本発、『アジアのNRI』へ 核は優秀で経験ある中国人コンサルタント

中島 久雄(董事・総経理)

優秀で経験ある人の数だけ会社も成長することができる

「大会社より、今は小さくてもやがては大きくなりそうな会社に入ろうと思っていました」と入社当時を振り返る中島。コンサルティングという業態は、ある日急激に拡大・成長することはあり得ない。「人の数しか大きくならないのがコンサルです。優秀な人の数だけ、会社も成長することができる。だから、うちのスタッフには、腰を据えてキャリアを重ねていってほしい」

入社後約20年を経た現在、中国事業のトップに立つ中島の言葉は、そのまま自身の経験にも重なる。通信の規制緩和に伴い、携帯電話事業の立ち上げに深く携わった90年代半ば、ゼロから新規事業の業務設計やシステム作りに従事した。これまで存在しなかった事業のモデルを作り上げていく過程で、中島はコンサルタントとして大きく成長していく。入社当時、決して認知度が高いとは言えなかったコンサルという業態は、それなくしては考えられない世の中にいつしかなっていたのだ。

上海に赴任して2年、少しずつ手応えを感じてきていると中島は言う。「中国人コンサルタントが、成功体験を持つようになってきたのが大きいですね。日本から振られた案件を下請け感覚でやっていたのでは、いつまでたっても成長することはできない。現地で受注し、コンサルタントが直接クライアントと接するなかではじめてわかることがある。当然責任は重くなりますが、それこそがコンサルタントの役割ですから」

アジアNo1のコンサルティングファームへ

中島は、中国事業を3つのステップで考えているという。在中国の日系コンサルティングファームとして、日系企業への実績を重ねるのが最初のステップ。次に、中国政府向けの政策立案支援業務。これは、日本での政策コンサルのノウハウを生かして中国政府の案件を請け負うことで、中国におけるNRIブランドの確立につながる。そして、最後のステップこそが、中島がぜひともやり遂げたいと認識していること――すなわち、「現地化」というテーマだ。NRIのノウハウを現地に移管し、中国人コンサルタントによる、中国企業へのコンサルティングを行うことこそが、中島が自らに課している最大の課題なのだ。

「中国の状況を踏まえた解釈をして解決策を導くことは、日本人には絶対にできない。真の意味でのコンサルティングは、現地の人間じゃないと無理なんです。NRI流の方法論やノウハウを理解した中国人の優秀なコンサルタントが育てば、新しく入ってきたスタッフもそれを見て自動的に成長できる。そういう仕組みを作ることこそが、私の役割であると認識しています。2010年までには、現在の40名弱の体制から100人規模に拡大するとともに、総経理のポストを中国人に譲りたい」そう語る中島にとっての目標は、中国にとどまっていない。グローバルなコンサルティングファームと競い合い、アジアでナンバーワン規模の頭脳集団としてNRIが機能すること――そのために、中国人コンサルタントの育成こそが何より求められていることを、中島は身に染みて感じている。

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