求められる現地化の要望に応える魅力ある企業であるために

田浦里香(経営戦略グループマネージャー)

課題点の解明は徹底的なディスカッションから

中国ビジネスを展開するうえで、どの企業にも必ずついて回るのが「現地化」というテーマ。事業の成否を大きく左右する問題だけに、日系企業の取り組みも真剣だ。人材マネジメントを専門とする田浦には、日系企業の人事担当者からの相談が絶えない。

「現地化しなければいけないというのは、誰もが口にしていること。その意識がある以上、何も手を打っていない企業はないはずです。企業によって人材を取り巻く状況は様々。何が課題となっているかがわかっているかどうか、それがいちばんの鍵なんです」

寄せられる悩みはそれぞれでも、課題に対しての認識レベルには温度差があると田浦は言う。人材マネジメントに、絶対的な回答はない。万能なシステムなど存在しない以上、当該企業にとっての問題意識を掘り起こしていくところから田浦の仕事は始まる。

「徹底的なミーティングから始めます。朝から深夜まで、会議室にこもって延々とディスカッションが続くこともしょっちゅう。話をするところから、お互いが目指す着地点を探っていくんですね」 たとえ似通った状況であっても、企業によってその背景は異なるもの。ひとつひとつの事情を照らし合わせ、細かく噛み砕いて考え抜く。最後に納得してもらえるプロセスを作り上げることができたとき、大きな遣り甲斐を感じるのだと田浦は言う。

「大手や力のある会社こそ、経営管理スタイルには自信を持っていて、なかなかそれを崩そうとしない。こちらから押し付けるものではないので、材料を提示して説得する作業に骨が折れるんです」

企業にとって最大の強みとは何か?

クライアントからの要望は、それこそ五月雨式に降り注いでくる。ディスカッションを重ねれば重ねるほど、クライアントの考え方やスタンスが変わってくるのは仕方のないことだ。それに最後まで付き合って、よりよいものに高めることが田浦の仕事だという。

「前に言ったことと全然違うオーダーが来たりする。でも、考えがまとまっていないからこそ我々に相談されるのだから、それに応えるのがコンサルタントの務め。サービス精神がなければ続かないかもしれませんね」
問題に真摯に向き合って考える――田浦が何より、日頃から心がけていることだ。

たとえばソニーや松下電器産業。就職先として中国の学生に人気の高い企業に共通するのは、日系企業である前に、企業として独自の魅力を伝えることに成功している企業だということだ。ブランド力のある企業は決して少なくない。しかし、そのブランドに対して明確なイメージが中国人に浸透しているかはまた別の問題だ。製品なのか、技術なのか、文化なのか、その企業が持つ最大の強みを発信し伝えることから、人材獲得はすでに始まっている。どれほど体制が整っていようとも、企業として魅力ある存在でなければ優秀な人材は集まらないのだから。

「ビジョンを掲げるだけでなく、具体的な施策を企業と一緒に考える。就職を希望する人材に魅力的に映る会社を作っていきたい。それがNRIのコンサルタントとして私がやりたいことなのです」

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