
都市開発についての事業計画を練るのが、吉永が所属する公共事業部の主な仕事。鉄道輸送についての卓越した知識と独自の見解を持つ吉永は、物流という観点から“あたらしい街づくり”を捉えている。
高度成長を続ける中国において、沿海部と内陸部の格差はますます複雑化・顕著化しつつある。それは物流の分野にも深く関わってくる問題だ。モノがあふれる沿岸部と、足りない内陸部――国家として持続的な経済発展を続けるためには、このアンバランスな危うい状態を改善しなくてはならない。
第11次5ヵ年計画においても、内陸部の開発は大きなテーマとして謳われている。特に鉄道交通の分野においては、経済成長を維持するための重要な課題であるとされている。「上海・広州・天津などの大都市における物流コストが高騰しすぎた結果、沿岸部は活気を失い始めている」と吉永はいう。「一方で、重慶・成都・武漢・西安などの内陸都市が勢いを持ちはじめ、強い競争力を獲得しつつある」
中国における物流は、巨大な潜在能力を秘めた新興事業である。競争の過熱化が進む状況において、自身の持つ知識を生かしたコンサルティングがビジネスチャンスを生むことを、吉永は誰よりも強く認識している。かくも激動するビジネス環境下で、変化に対応した戦略を提唱することをコンサルタントは求められる。敏感に時代の空気と状況を読み、あたらしい街=国家をつくるための努力は日々続くのだ。
開発区建設の事業計画もまた、NRIが得意とする分野だ。浦東臨港、青浦、宝山及び蘇州、無錫、昆山などの開発実績において高い評価を受けており、さらには天津濱海、泰達、重慶空港などの開発にも深く関与する。
数々の案件を手がける中で、吉永は虹橋の新交通ターミナル建設プロジェクトに関われることを喜びとともに語る。「未来を切り拓くことがNRIの使命です。新しい都市を開発し、実績を積み重ねていく。それが会社としてのNRIの成長であり、自身の将来でもあるのです」
吉永をはじめ、NRIのスタッフは自己の成長と会社の発展を重ね合わせ、そこに強い希望を持っている。将来について話すときの自信に満ちた表情が、何よりそれを語っている。
日本で過ごした14年の年月を経て中国に戻った吉永。祖国不在の間の大きな変化と発展に感銘を受け、このような環境の中で一刻も早く何か事業をやり遂げたいという強い気持ちを持ったという。人材重視のポリシーに惹かれてNRIに入社したという吉永に、今後の目標を尋ねた。
「NRIの中国でのブランド力及び知名度を高めることです。今後も各政府機関との連携を深めていくことで、中国での影響力を強めることができると考えています」
その考えのもと、物流分野にとどまらず、専門とは違うシステム・ネットワーク関連の仕事をも手がけているという。なぜ自分の専門とかけ離れた情報通信の仕事まで? と問えば、「チャレンジ精神であり、冒険ですね」微笑みながら簡潔に答えた。通信キャリアへのコンサルティングサービスの提供を、吉永はひたむきに狙っている。
